「令和2年優秀選手表彰式典」は東京六本木のSIX WAKE六本木HALLできょう4日、開催となった。
激動の令和2年を彩ったボートレース界の代表レーサーが表彰される特別な一日であるが、新型コロナウイルスの影響もあり最少人数で行われ、その模様はYouTube配信となっている。
その受賞選手を紹介する。優秀女子選手…平高奈菜(香川支部)
2020年大みそか、第9回クイーンズクライマックス(浜名湖)を制し女子選手の獲得賞金額1位となった。
ただ、その道のりは平たんではなかった。
というのも、昨年6月、レースのアクシデントで腕を骨折し全治2カ月と診断されたのだ。
しかし、なんと1カ月あまりで復帰する。
多摩川のG1レディースチャンピオンに参戦し周囲を驚かせたのは記憶に新しい。
「ファンが待っていてくれるなら…」と困難に身を投じる平高奈菜。困難な時代だからこそ、その姿勢の崇高さがあらためてわかる。最優秀新人選手…前田篤哉(愛知支部)
対象新人選手の中で賞金獲得額(2402万円)、勝率(6.23)がともに1位だった。
優勝は2回。これもトップタイの回数だった。
「師匠はいない。すべての人からいろいろと吸収したい」と語る背景には、すし職人だった父とそれを支えた母の存在がある。
「誰からも好かれる人になれ」という両親の想いが、大きな可能性への志向につながっている。特別賞…今村豊
デビューから、おごることなく努力を積んできたレジェンドは、39年を超える選手生活の中で、78期連続最上位級を継続した偉人である。
SGタイトルは7つを数え、G1競走V48はマネできるものではない。
若い時代は「プリンス」と呼ばれ、後に「ミスターボートレース」、そして「レジェンド」と称されるようになった正真正銘のトップランカーは、あくまで「努力」の大切さを説く。
正しく、強く、たくましく、そして優しく奥深い…。
ボートレース界の至宝は、一般財団法人BOATRACE振興会の「BOATRACE殿堂」第1号となった。最優秀選手…峰竜太(佐賀支部)
「最優秀選手」(オーシャンカップとグランプリ優勝)、「最多賞金獲得選手」(2億5302万7000円)、「最高勝率選手」(8.71)、「最多勝利選手」(134勝)、「記者大賞」と、取ることのできる賞を総なめにしたボートレース界の第一人者が峰竜太だ。
とりわけすさまじいのは最高勝率選手に6年連続で輝いていることだ。前人未踏の大記録である。
昨年12月の平和島グランプリVは1年の総仕上げ、年間14Vという驚異的な優勝回数にすごみがある。
日頃からサーフィンを通じて自然に親しみ、人との交流を深めているトップアスリートは常に常にファンを想い、世界を想い、頂きを共有するボートレース界の最高峰にほかならない。
日本モーターボート競走会は4日、「令和2年 優秀選手表彰式典」を東京・港区のBOAT RACE六本木 SIX WAKE ROPPONGIで開催した。
優秀女子選手に選ばれたのは昨年末の浜名湖プレミアムGⅠ「第9回クイーンズクライマックス」を制し、初の賞金女王に輝いた平高奈菜(33=香川)だ。
普段の雰囲気とはガラリ一変、左肩をあらわにした、あでやかな黒のロングドレスで登場すると、照れくさそうに「ドレスはめったに着ないので緊張しています」と少々、こわばった表情を浮かべた。
「この賞に選んでいただき光栄です。昨年はSGもたくさん走っていろんな経験ができました。ケガ(昨年6月ボートレース下関で事故により骨折)からの復帰(同8月多摩川プレミアムGⅠ「レディースチャンピオン」)は少し無理をしたけど、早くお客さんの前で走りたかったので良かったと思う。私はあまり目立ちたいタイプではないけど、お客さんを見て頑張れています」と平高にとってはファンの声援が一番の〝特効薬〟だったという。
「(2010年に)新人賞を取った時に、またこの舞台に立ちたいと思っていたのでうれしいです」と2度目の表彰式に感慨深げだった。
日本モーターボート競走会は4日、「令和2年 優秀選手表彰式典」を東京・港区のBOAT RACE六本木 SIX WAKE ROPPONGIで開催。前田篤哉(24=愛知)が最優秀新人選手に選ばれた。
前田は昨年10月に行われた桐生「ルーキーシリーズ」で自身初Vを決めると、多摩川「ルーキーシリーズ」で連続Vを果たし、一躍、脚光を浴びた目下売り出し中の〝フレッシュマン〟だ。
「自分がここに立てると思っていなかったので、すごくうれしいです。(昨年は)事故をたくさんしたけど、優勝もできたし、この賞もいただけました。いい一年だったと思います」とさわやかな笑顔を見せる。
ただ「調整力が足りないのでエンジン次第のレースになってしまいます。もっと実力、調整力をつけないといけないです」とまだまだ課題は多い様子だ。
「(今年は)GⅠを走らせてもらえる機会もあると思うし、今まで以上の成績を残せたらいいですね」と、記念レース戦線での活躍を誓った。
昨年10月に現役を引退した〝レジェンド〟今村豊さん(59)には、長年にわたるボートレース界への貢献、功績がたたえられ、特別賞が贈られた。
現役時代とまったく変わることなく、タキシードにさっそうと身を包んだ今村氏はちょっぴり照れくさそうにステージへ登壇。「昨年に引退してこの表彰式とは無縁だと思っていました。引退後も、このような賞をいただけて本当にありがたく思います。39年間、ボートレースに打ち込んできて全く悔いはないです」と、真っすぐな視線で話した。
今村さんは「ボートレースは私を育ててくれた素晴らしい業界です。39年の長きにわたり応援してくださり、ありがとうございました。これからもこの業界にできる限り貢献できればと思っています」と、今後もボートレースに携わっていくことを誓ってくれた。
東京六本木のSIX WAKE六本木HALLで開かれた「令和2年優秀選手表彰式典」(2月4日)で元選手の今村豊(敬称略)が特別賞を受賞した。
昨年10月8日の引退会見で「やり残したことがあったらやめていない。満足感でいっぱいです。ボートレースは私の人生そのもの…」と語ったレジェンドである。39年を超える選手生活の中で78期連続最上位級(現在のA1)をマークし、SGタイトル7つ、G1競走V48という大記録を打ち立てた偉人は、「BOATRACE殿堂」第1号にも選ばれている。
そして、それにふさわしい人格者でもある。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」は今村豊の座右の銘であるが、式典のインタビューで「小さい頃から親に言われてきたことです。強くなればなるほどクリーンなレースをしたいと考え、通してきました」と静かに語った。接戦時にボートをぶつけることなく戦う姿は永く語り継がれることだろう。
そんな超一流は誰からも好かれる人物で、プロ野球界やプロゴルフ界にも知己が多く懐が深い。それは若い取材者に対しても同様であった。相手によって態度を変えないのが今村豊である。
強いのに優しく、広いのに深いのである。
1981年5月に徳山でデビュー。84年5月のボートレースオールスター(浜名湖)で、史上最短となるデビュー2年11カ月でのSG優勝を果たしたが、記録はおまけつきだった。当時の最年少SGウイナー(22歳10カ月)にもなっている。(その後、服部幸男が21歳9カ月で記録を更新)
「箱まくり」と称される革命的な全速ターンを編み出し、スピードで圧倒するスタイルで2880もの白星を挙げてきた優しき男にこそ、「レジェンド」という称号はふさわしい。