昨年大ブレイク男が地元周年大暴れ
5月にSG「ボートレースオールスター」の開催を控えるボートレース若松(福岡県北九州市)では、その前哨戦となるG1「読売新聞社杯開設68周年記念・全日本覇者決定戦」が3月13日に幕を開ける。地元エースの瓜生正義を筆頭に毒島誠、石野貴之、山崎智也、太田和美、湯川浩司らビッグネームに加え、篠崎元志、仁志兄弟や仲谷颯仁、羽野直也ら地元勢も充実の布陣。そんな地元勢の中でも昨年、今年とあっという間にG12勝をマークし、昨年末の平和島グランプリでは初出場で初優出。今大会は2日目のドリーム戦に1号艇で出場する西山貴浩に意気込みを聞いた。亡き義姉のためにGP出場
―まずは大ブレイクした昨年を簡単に振り返って下さい。「G1初優勝はできたし、知らんぷりしていたグランプリ(GP)にも出場できたし、ここまでのレーサー人生では最高の1年でしたね。大村で完全優勝なんかもあったなあ。8月のびわこ周年では優勝戦1号艇で負けたけど、その経験があったから徳山では優勝できたと思う。その時は表に出ていなかったですけど、今村豊さんの引退シリーズだったので白井英治さんの気合は半端なかったですけどね」
―GPに出場できた自分なりの要因は?
「2年前に義姉が亡くなったんです。その義姉は本当に僕にはよくしてくれて、応援してくれて。『GPにも必ず行けるから』ってずっと言ってくれてたんです。その義姉のためにも昨年はGPには出なきゃいけないと思って走ってました。それが一番だと思います」
TR1号艇 オッズ見て吐く
―そのGPでは3勝をマーク。1stから見事に決定戦に勝ち上がりました。「外から見るのと実際に走るのとでは全然違いましたね。あのプレッシャーは経験したものにしか分からないと思う。1号艇の時の締め切り10分前、オッズと売り上げを見てトイレで吐いたくらいですからね。トイレに入ると、誰かは分からなかったけど先に吐いている選手がいたんですよ。それにつられて自分も…。こんな世界もあるんだなって、GPに出て初めて分かったし、GPに出るような選手は、そりゃ~強くなるわって痛感させられましたよ」
1月にG1 2勝目
―その勢いは衰えず、1月にはさっそく江戸川周年でG12勝目です。「江戸川は本当に流れが良かったですね。予選道中はことごとく展開がはまってくれたし、準優、優勝戦と1号艇の時は水面がすごく穏やかだったし。江戸川で水面が荒れたらインから逃げるのは一気に難しくなりますからね。ただ、GPの1号艇を2回も経験させてもらったので、もうどんな状況でもイン戦でプレッシャーを感じることはないですよ」
若松でSG初制覇なら引退してもいいくらい(笑)
―次のファンの期待はSG初制覇だと思いますが。「ファンもそうでしょうし、自分も勝ちたいです、SGを。それが5月の若松オールスターなら最高。若松でタイトルを取るのが選手になってからの最大の目標でしたから。優勝したらもう引退してもいいくらい!(笑い)」
―そのオールスターのファン投票の中間発表では峰竜太選手に続く2位でした。
「ファンの方は本当にありがたいですね。自分もいたるところで投票をお願いしてましたが、まさかこんなにたくさんの票をいただけるとは…。もう涙が止まりません!」周年DR初1号艇「なんで俺が?」
―そのオールスターの前に、まずは今大会です。2日目のドリーム戦では1号艇に指名されましたよ。「最初に聞いた時は本当にびっくりしましたよ、えっ?なんで俺が?って。でも、それだけ施行者さんから期待されているんでしょうし、腹をくくるしかないですね。目標はもちろん優勝です。それとイン戦で負けないこと。今年の目標はイン戦で飛ばないこと…と決めていたのに、元日の準優でいきなり飛びましたから(笑い)」
◆西山貴浩(にしやま・たかひろ)
1987年5月15日生まれ。福岡県出身。33歳。福岡支部。05年11月に97期として若松でデビュー。08年9月に若松で初優勝。11年11月大村チャレンジカップでSG初出場。20年9月に徳山ダイヤモンドカップでG1初優勝。20年は年末のグランプリ(平和島)にも初出場を果たし、決定戦に進出。今年1月には江戸川で早くもG12勝目をマークした。通算優勝は40回。生涯獲得賞金は約5億4512万円。身長168センチ、体重52キロ。血液型A。