ボートレーサー(競艇選手)が出場停止期間を悪用し、新型コロナウイルス対策の持続化給付金を不正受給した疑いがある問題で、競技運営を担う日本モーターボート競走会と選手会は30日、東京都内で記者会見し、選手211人が制度の趣旨を理解しないまま安易に受給していたと明らかにした。日本中央競馬会(JRA)の騎手ら約160人に続き、同じ公営競技の競艇でも不適切な受給が判明した。
競走会の潮田政明会長は「レースを支えてくれているお客さまを不快な気持ちにさせてしまったことを深くおわび申し上げる」と陳謝し、受け取った全ての選手に自主的に返還するよう指示していると述べた。
一般財団法人日本モーターボート競走会(東京都・六本木)は30日、「ボートレーサーの持続化給付金受給」に関する記者会見を行った。
日本モーターボート競走会の潮田政明会長は冒頭で「今年2月に日本中央競馬会で持続化給付金の不正受給が問題となった際に国土交通省より調査の指示があり、3月10日より全選手(1574人)の調査を実施。その結果、211人の選手が同制度を十分に理解せずに、安易に受給を申請していたことを確認した」と報告した。
また「ボートレース業界は開催日数は減少しておらず、レースの打ち切り等があっても追加のあっせんを行っており、収入の減少は極めて限定的。申請したのは極めて遺憾であります」(潮田会長)と、選手の受給が適正ではなかったと説明。そのため全211選手には自主的な返還を指示しており、すでに39人の選手が返還済み、もしくは手続き中だという。
なお「フライング休みを理由に申請した選手がいると報道もあったが、個々の選手の状況などは精査中」(潮田会長)で、申請を主導した税理士の有無や選手間で広まった状況なども現時点では把握できていないという。精査の結果や新たな情報が判明した際は、何らかの方法で報告する方針も明らかにした。
潮田会長は「ファンの皆様に不快な思いをさせてしまったことを深くお詫び申し上げます。ご迷惑をおかけしました」と謝罪。今回の問題を受け、潮田会長は減俸10%を5か月、他の競走会役員は減俸10%を3か月、また日本モーターボート選手会の上滝和則会長は減俸10%を5か月、他の選手会役員は減俸10%を3か月の処分となる。