【競艇八百長、被告に本紙接見 引退の理由「国税調査」】
競艇のレースで故意に順位を下げる見返りに報酬を受け取ったとして、モーターボート競走法違反(収賄など)の罪に問われた元競艇選手西川昌希被告(30)=名古屋拘置所で勾留中=が、本紙記者の接見取材に応じ、「ルールを破ったことは反省している」と話した。事件が明るみに出る前に引退した理由については、贈賄側に名古屋国税局の強制調査が入ったことがきっかけだったと認めた。「記者さんも人を殺すことはあかんと分かっているでしょ。でも人を殺した人間に『なんで殺したのか』と聞いても答えられない。僕の場合も、それと一緒で答えるのは難しいですね」。記者が不正に手を染めた理由を尋ねると、殺人を例えに独特の表現でこう返答した。
三月の初公判で検察側は、西川被告の口座を調べたところ、二〇一六年以降、競馬や競輪による損失が一億八千万円あったと明らかにした。
記者が「ギャンブルでできた借金が動機ではないか」と聞くと、西川被告は「全く関係ない。お金に困ったから始めたわけでもない。動機については裁判でもしゃべるつもりはない」と話した。
一方、昨年九月末の引退理由は「一身上の都合」となっていたが、贈賄側として起訴された親戚の会社員増川遵被告(53)=津市=を名古屋国税局が調査したことがきっかけだったと認めた。「八百長は公営ギャンブルにおいて、ファンや関係者に対する最大の裏切り行為ではないか」との質問には、「確かにルールは破った。それに対しては反省している」と話し、「判決は受け入れる。控訴するつもりはない」と観念した様子も見せた。
引退時、約千六百人いる競艇選手の中で成績上位20%に当たるA1クラスだった西川被告。選手生活については「収入も含めて優遇されていた。嫌なことはなかった」と振り返ったが、「A1だからすごいとは思わない」と、やや投げやりに話す場面もあった。
2020/11/2 暴露本発売【競艇と暴力団~八百長レーサーの告白~】西川昌希