池田浩二と西山貴浩はもう、師弟の関係以上のだな。見ていて気持ちがいい。
ボートレース平和島のSG「第35回グランプリ」は18日、開催4日目を迎え、第11、12Rでトライアル2nd第2戦が行われた。
その11Rは前日の枠番抽選で〝残り福〟の1号艇を手にしていた西山貴浩(福岡=33)がコンマ05の好スタートから、一気に逃げ切りを決めて快勝! 初出場のグランプリで2勝目を挙げる大健闘! 2着は的確なさばきを発揮した松井繁(大阪=51)、3着には寺田祥(山口=42)が続いた。悲願のGP初制覇を狙う毒島誠(群馬=36)はまさかの6着に終わった。
レース後の西山は「僕の人生の分岐点になりましたね。この1勝でまた強くなれました!」と、テンションMAX! 20日最終日に行われる1憶円争奪戦〝ファイナル〟進出へ、また一歩前進した。
続く12Rはやはり、前日のTR2nd初戦快勝発進から、絶好枠を引き当てていた峰竜太(佐賀=35)がインコースからあっさりと押し切り勝ち。難なく2連勝を決めた。2着は大外からまくり差しを繰り出した菊地孝平(静岡=42)、3着は平本真之(愛知=36)が入った。
その後、19日=第3戦の枠番抽選が行われると、B組メンバーで真っ先に抽選器を回した西山が、またしても白玉=1号艇を引き当てた! グランプリ初出場ながら、いきなりファイナル進出の可能性もグッと高まってきた。
2020年ボートレースの賞金王が決まる平和島SG「第35回グランプリ」は18日、4日目を終了。トライアル2nd第2戦が行われ、11Rは西山貴浩(福岡=33)が逃げ切り快勝! 続く12Rでは峰竜太(佐賀=35)が逃げて、初戦からの連勝を飾った。
5日目(19日)は11、12Rでトライアル2nd、最後の3戦目が行われるが、連勝で得点率10・00として、断然のトップに立った峰は、12Rを無事故完走で優勝戦進出とともに、その1号艇も当確となる。
その得点率順位は次の通り。
1峰 竜太 10・00
2毒島 誠 7・00
3西山貴浩 7・00
4深谷知博 7・00
5松井 繁 7・00
6寺田 祥 7・00
……………………………
7菊地孝平 6・50
8平本真之 6・50
9白井英治 6・00
10新田雄史 6・00
11篠崎仁志 5・50
12吉川元浩 3・50ご覧の通り、峰以外は同率も多く、僅差のダンゴ状態。「ファイナル」進出の可能性は、わずかながらとはいえ、篠崎にまで残されている状況だけに、トライアル2nd最終戦は壮絶な戦いとなりそうなムード。進入コース争いから、一瞬たりとも目が離せなくなった。
ボートレース平和島のSG「グランプリ」は18日、トライアル2nd2回戦を終了し、19日はいよいよトライアル2nd最終戦が激突する。イン逃げ2連発で無事故完走なら決定戦1号艇を獲得する峰竜太(佐賀=35)以外は近年まれに見る大混戦となった。
誰にでもファイナル進出の可能性がある中、大勝負となるTR最終戦では、10月の大村「ダービー」を制して、SGウイナーの仲間入りを果たした〝静岡のプリンス〟深谷知博(静岡=32)に大注目したい。
初の大舞台にも臆する様子は全くない――。トライアル2戦目となった4日目11Rの5着は大外6コース発進が災いしたが、3日目のTR初戦(3コース)は、外から伸びてくる白井英治(山口=44)の攻撃を封じながら、強ツケマイに出てイン峰に肉薄。バックストレッチでは並走まで持ち込む2着と健闘した。
「お客さんが少ないということもあるけど、雰囲気は住之江とは違うのかな。いい意味で落ち着いて走れています」と、思い切りのいい、いつもの彼らしい走りができている。フライング持ちのハンディがありながらも、スタートも初戦がコンマ03、2走目もコンマ12と、バッチリ決まっているのも〝いつも通り〟といえるだろう。
肝心の舟足もさらに良くなっている。アクティブなレースぶりとは対照的に、調整に関しては細部まで丁寧に詰めていくタイプだが「今ならいい足をしている。展示タイムが出たし、その足が本番レースで出るようになってきた。全体に良くて体感もいい」と文句なしの状態に仕上がってきた。しかも、5日目の最終戦に関しては、12Rの方に好エンジンが集まった感もあり、深谷のいる11Rの対戦相手なら、一枚抜けた存在とみていいだろう。
結果はもちろん大事だが「いいレースがしたい」と、まずは全力を出し切ることに〝全集中〟。それが深谷なりのGP攻略法だ。得意の3コースから渾身のハンドルをねじ込み、夢への扉をコジ開ける!
ボートレース平和島で開催中のSG「第35回グランプリ」は18日、トライアル2ndの第2日目が終了。初戦に続いてのイン逃げ連発となった。峰竜太【写真上】は連勝を決め、早くも無事故完走でのトライアル突破、そしてグランプリ優勝戦の1枠が決定的となった。それでも、昨年(住之江)は4着、1着、転覆とトライアル2ndの第3日目で転覆し、グランプリ優勝戦進出を逃した苦い経験がある峰。「そんなに甘くない」と浮かれることはなかった。レースでも守りに入らず「6着よりも1着で1号艇になりたい」と完全優勝を意識しているかの発言。仕上がりも「節一です」と自信に満ちている。
<平和島5日目11R トライアル2nd>
1枠 西山 貴浩 (福岡) 6着1着14点
2枠 寺田 祥 (山口) 3着3着14点
3枠 深谷 知博 (静岡) 2着5着14点
4枠 吉川 元浩 (兵庫) 2着転覆9点
5枠 篠崎 仁志 (福岡) 5着4着11点
6枠 菊地 孝平 (静岡) 6着2着13点<平和島5日目12R トライアル2nd>
1枠 新田 雄史 (三重) 4着4着12点
2枠 白井 英治 (山口) 3着5着12点
3枠 平本 真之 (愛知) 4着3着13点
4枠 松井 繁 (大阪) 5着2着14点
5枠 峰 竜太 (佐賀) 1着1着20点
6枠 毒島 誠 (群馬) 1着6着14点
※()内は支部 右は2nd成績と合計得点なお、トライアル2ndの得点は1着10点、2着9点、3着7点、4着6点、5着5点、6着4点。グランプリ優勝戦に進むためには計3走して得点率上位6人に入ることが必要(同率の場合は選出順、つまり11月29日終了時点での賞金順・1位は峰竜太)。ボーダーラインを得点でいえば2018年は21点の着位差、2019年は20点の着位差だった。
ボート界のスーパースターは、常に魅せるレースをファンに提供する構えだ。その峰は12R5枠で登場。ここは「伸びはトライアルの中で一番いい」とパワーに自信の白井英治【写真下】もいて激戦。1枠ゲットの新田雄史も、まったくミスが許されない状況だ。毒島誠は抽選運なく6枠となったが、こちらも「足は申し分ないです」と状態はいい。「仕切り直して頑張ります」と、気持ちを切り替えて上位進出を狙っている。
西山貴浩はトライアル2ndの第2日目を逃げ切ってポイント挽回。抽選では再び11Rの1枠を引き当て「人生のピークが来ました」と喜びを爆発させた。流れは節一。しかし、仕上がりに関しては余裕がなさそう。しかも、ほぼ全員がファイナル入りへ勝負駆けという状況では、コース争いから激しくなってくるはず。1枠を得たからといって絶対有利ではない。
11Rは3連続で6枠となった菊地孝平【写真上】が「進入はありとあらゆることを考える」と発言。黙って大外ということはまずない。インまで奪いにいくような動きを見せる可能性すらある。これに対して、他の選手がどう対処するか。そこがまずひとつの見どころとなる。仕上がり面では、寺田祥が「ペラ調整がいいところにはまって、レース足はいい」と上昇ムード。深谷知博も「全体的に良くて、体感もいいです」と調整がうまくいって、一発が狙える。1着勝負となりそうな篠崎仁志も「見劣る感じはない」と悲観する様子はなし。実力も仕上がりも拮抗。誰が勝ち名乗りを上げるのか、トライアルラストバトルから目が離せない。
BOAT RACE ビッグレース現場レポート
祭り男の逆襲
11R
①西山貴浩(福岡)05
②新田雄史(三重)05
③松井 繁(大阪)04
④寺田 祥(山口)07
⑤毒島 誠(群馬)10
⑥深谷知博(静岡)12
西山がわっしょいわっしょい逃げきった。ピットでは恐ろしく緊張していた、という情報が届いていたが、いざ実戦はインからコンマ05の電撃スタート。2コースの新田が意表のジカまくりで斬りつけても、これをすぐに察知して握りマイで応戦。新田の足を封じ、そのままバック先頭で突き抜けた。
惜しかったのは3コース松井で、握る気満々でいたところの新田の先攻め。そうと気づいて差しに回るひと呼吸の遅れが、西山の逃げを許す結果となった。それにしても、今日の松井も道中の捌きは達者の一語。バックで内からすいすい伸びる寺田(「平和島の花道」と呼ばれるコース)に舳先を掛けられたが、2マークはまったく慌てず寺田を先に回しての激辛差し。
今節、私は松井21号機をほぼ一貫してB+【出B・直A】と鑑定してきた。道中での捌きを「経験値の高さ」と片付けてきたが、これだけ何度も鮮やかに後続を突き放すのだから【出B】を見直す必要もありそうだ。
4カドの寺田はスリットの手前で上体をわずかに起こし、明らかにアジャストしていた。パンパンの気合が早起こしへと連鎖したのだろう。悔しい善後策ではあったが、タイミング的には「正解」だと思う。スリット全速で突き抜けたらどこまで伸びたか、それは明日のお楽しみにしておきたい。
道中でもっとも心配だったのは、毒島のレース足だ。大敗という結果はコースの不利が大きかったとして、深谷との熾烈な5着争いで常に的確なターンを繰り出しながらもターンの出口で競り負けていた。深谷の足が強かったのか、毒島のそれが見立て以上に弱かったのか。とにかく競り合いに不安を残す、頼りない実戦足だった。
埋伏の魔物
12R
①峰 竜太(佐賀)10
②平本真之(愛知)12
③吉川元浩(兵庫)12
④篠崎仁志(福岡)12
⑤白井英治(山口)05
⑥菊地孝平(静岡)07
「今日こそは菊地が動く! ならば白井も抵抗して最終隊形はしっちゃかめっちかになる」という私の憶測は見事に外れた。極めて穏やかな枠なり3対3。無策のまま6コースを選ぶ男ではないから、考えられる戦術はただひとつ。
伸びる白井をマークして展開を突く。
そして、この作戦は結果としてそれなりの成功をもたらすことになる。今日の白井も特訓からスリット足が半端なく(おそらく、菊地はこの足色を測っていたはずだ)、やや直線足が頼りない仁志を軽々と飛び越えていた。
本番でも白井は行った。50mあたりでややアジャストしたようには見えたが、それでもトップスタートからもこもこと伸びていく。仁志を超えて、さらに加速がつきはじめた瞬間に、埋伏の兵が現れた。3コースから直進していた元浩が、白井を待ち構えるようにしてぴったり艇を合わせて握ったのだ。
厄介な敵を張り倒して先に攻める。
兵法として十二分に成立する作戦で、真っすぐに攻めた白井はなす術なく真横に流れ去った。逆に元浩はその反作用を利して、グイッと舳先を前に推し進める。
ほぼ2、3番手は確定かと見た直後、今度は元浩がターンの出口で見えない魔物に足をすくわれた。バランスを逸して転覆、失格。原因は不明だが、見た目にはさほど無理のない旋回だったから、今節のちょっとしたキーワードである「うねり」にやられたか。昨日の午後には平本も足合わせの際に、ほぼ同じ場所で転覆している。当地をホームにしている私もほとんど聞きなれない「平和島のうねり」。もしも実際にこれが原因だとするなら、明日はこの不気味な魔物が現れないことを祈るしかない(もちろん、単にハンドルを戻し過ぎた、などのシンプルな原因かも知れない)。選手責任の転覆(-2点)となって、元浩、ほぼ脱落……。
書くべきレースはここで終わった。今日も峰がカッチリと逃げ、転覆した元浩を横目に6コースの菊地が2番手を取りきった。後でリプレイを観たらば、菊地のマーク差しの初動の早いこと早いこと! だからこその6コース選択であり、菊地にとっては脳内レースとまったく同じ航跡を描いたに違いない。そして、レース後にまたしても6号艇を引いてしまった菊地は、明日は180度違う戦術を選ぶと断言しておこう。
3着は2コースから小さく差した平本。回った直後、菊地の強烈なまくり差しの引き波を浴びており、展開的には幸運な7ポイントと言えるだろう。
4着も恵まれのような形で4カド仁志の手に渡ったが、昨日からまったく見せ場のないレースが続いていのが気になる。展開の不利だけでなく、足的にも見せ場を作れるほどの強調材料がなさそうだ。明日は5号艇での1着勝負。6号艇・菊地の存在も含めて、仁志がレース前になんらかの勝負手を放つ可能性も想定しておきたい。
5着はスリットからレースを作ろうとした白井。昨日のレースは「伸び型にした」と語の、今日の選択も自力勝負と決めてストレート足を磨いたと推定できる。その作戦は裏目に出てしまったが、行き足~伸びのパンチ力は誰もが認めるところ。ではでは、2号艇となった明日はどんな調整で臨むのか。自慢のストレートを殺さないまま手前に寄せきれれば問題ないのだが、果たして出足系統にすんなりシフトできるモーターなのか。毒島や松井を入れての3カド、4カド戦法も念頭に置いておきたい。