11月2日からの徳山でデビュー。
「まずは無事故完走。着より内容を重視して、きれいな走りを心掛けたい。1年間はFを切らず、お客さまの心に残るレーサーになりたい」。周囲の心をわしづかみにする笑顔。新星誕生の予感がした。
◆清水 愛海(しみず・あみ)
1999年(平11)11月23日生まれ、柳井市出身の20歳。
山口支部。岩国総合高卒。
レーサーは「母子家庭なので高収入に魅力を感じた」。
リーグ戦、第3、第7戦を優勝。好きな言葉は「七転び八起き」。
1メートル57、45キロ、血液型O。
デビュー戦2020/11/2 ボートレース徳山
ボートレース徳山では2日から一般戦が開幕する。注目は今節がデビュー戦となる127期の卒記チャンプ・清水愛海(山口=20)だ。
地元の柳生泰二(山口=36)、近況好調な松田大志郎(福岡=32)、2021年前期適用勝率で初めて女子トップとなった守屋美穂(岡山=31)、同2位の小野生奈(福岡=32)ら強豪レーサーがひしめくなか、どのような走りを見せるのか――。
前検日の1日、清水はデビューを前にさすがに緊張モード。ただ、前日に養成所の荘林幸輝教官から電話で「失うものがないんだから1年間は勉強させてもらえ」という言葉をもらって肩の荷が下りたという。自身も「1年間教えてもらったことをレースで見せたい」と抱負を語った。
エンジン抽選で引き当てた70号機は2節前に田口節子(岡山=39)が優勝とした好エンジンとあって、まずは強運ぶりを発揮。初日は7R6号艇で登場する。逸材と期待されるルーキーの走りから目が離せない。
柳井市柳井の清水愛海さん(20)が11月2日、同市出身では初の女性ボートレーサーとしてデビューする。母子家庭で育ち、危険でも高収入な職業で母親を助けたいと目指した。ボートレース徳山(周南市)での初陣は母親も観戦する予定。晴れ舞台に向け練習に励む。
柳井市出身の現役プロ3人のうち高岡竜也選手(27)と知り合いでレーサーに興味を持っていた。岩国総合高3年だった3年前、初めてレースを観戦し、うなるエンジン音や時速80キロの疾走に魅了された。3姉妹を育ててくれた介護士の母親への恩返しになるとも考えた。
4度目の入学試験で合格した福岡県の養成所では、男子も交えた同期生との競走で勝率、1着回数とも1位。もう一つトップをとったのは転覆・落水の回数だ。速度を落とさずカーブに飛び込む高速旋回に果敢に挑み、45回も水の中へ。「こつをつかみ始めてから結果につながってきた」と振り返る。9月に首席で修了した。
プロになった喜びもつかの間、練習では先輩選手との技術力の差を痛感した。だが、高校時代にバスケットボール初心者ながら、経験者にもまれて成長できた体験から、「ボートも実戦の中で学ぶ。すぐ勝てるほどプロは甘くない」と気を引き締める。「将来は同期のライバルと優勝を競い合いたい」と静かな闘志を燃やしている。
ボートレース第127期生の修了記念競走と修了式が25日、福岡県柳川市のボートレーサー養成所で行われた。注目の「養成所チャンプ」の座は清水愛海(あみ)訓練生(20=山口支部)が勝ち取り、史上6人目となる女子チャンプが誕生した。
1年間にわたる厳しい訓練を乗り越えた男子15人、女子14人の29人の訓練生が卒業。11月からはプロレーサーとしての第一歩を踏み出すことになる。
この日は修了式に先立って127期生全員による修了記念競走が行われ、メインの第5Rは養成期間中のリーグ戦の成績上位選手による「養成所チャンプ決定戦」が組まれた。歴代チャンプには三角哲男、太田和美、勝野竜次、池田浩二、田村隆信、新田雄史、篠崎仁志とSGウイナーがズラリと並ぶだけに毎年、注目を集める一戦となっている。
レースは3コースの仲道大輔(20=愛知支部)がカドに引いて12/3456。インからコンマ09のトップスタートを決めた清水が握って、迫ってきた仲道を振り切って勝負を決めた。
清水は「全速スタートを決めて思い通りのターンができました」と納得の表情でレースを振り返った。荘林幸輝実技教官から「最高だったよ!」と声をかけられると思わず涙。その荘林教官は「こんなに転覆の回数が多い子は初めて。でも転覆の仕方が悪い転覆ではなく、いい転覆。選手になってからの努力で大きく変わるから何ともいえないけど、訓練修了の段階では大山千広に匹敵するレベル」と人気、実力ともにトップレーサーの一人として活躍する先輩女子レーサーの名前を挙げて評価した。
表彰式では127期の仲間に「一番、多くコケて同期のみんなに迷惑をかけてしまった。みんなには感謝の言葉しかないです」と深々と頭を下げた。
初陣は11月2日から開幕する徳山一般戦。転んでも転んでも立ち上がり続けて〝ド根性娘″がデビューする。
清水愛海ニュース
ボートレースの山口支部にニューヒロイン誕生の予感がする。11月2日、ボートレース徳山でデビューを果たした127期生の清水愛海(20)だ。ボートレーサー養成所の訓練では転覆と落水を繰り返しながらも、女子で史上初めてリーグ戦勝率1位に輝き、修了記念レースでもチャンプの座を射止めた。デビュー戦を終えた未来のスター候補の素顔に迫った。
好きな言葉は「七転び八起き」。4回目の受験で悲願の入所を果たしたボートレーサー養成所での清水は、まさにその言葉を体現して過ごした。訓練期間中は何度も転覆と落水を繰り返し、水面に飛び込んだのは実に45回。強くなるために努力を惜しまず、水面に叩きつけられながらも、そのたびにはい上がった。現在のリーグ戦方式になってからは、女子で初めて勝率1位に輝き、修了記念レースでも女子で史上6人目の頂点に立った。
女手一つで育ててくれた母に恩返しをするため、高校3年時に「高収入、1年でプロになれるのが魅力」のボートレーサーを志した。ボートレースを知った際に開催していた宮島で初観戦。その後も徳山で観戦し「スピードと迫力が、格好良かった」。4回目のチャレンジで合格。この秋から、晴れてプロデビューを果たした。
自分自身を「ネガティブなんです」と評する20歳。養成所では技術だけでなくメンタル面も鍛えられた。「精神的にも少し強くなったと思います」。休日の過ごし方は「レース場で練習することが多いですね」。強くなるため、そして、母へ恩返しするために、常にボートレースと向き合っている。
7日に幕を閉じたボートレース徳山でのデビュー節は、1走目にいきなり転覆。その後も大敗が続いた。
「全てにおいてレベルアップが必要。養成所の成績は過去のことで、今は真っ白な状態。その分、伸びしろはある。一つ一つ成長して、荘林教官のような、選手としてだけでなく、人として中身のあるレーサーになりたい」
男子と対等に戦うボートレースでの挑戦は始まったばかり。武器である男子顔負けのハンドルさばきと、自身が持ち味と話す「諦めの悪さ」で、輝かしい未来へ突き進む。
≪目標は荘林教官≫清水が尊敬、目標とする人物に挙げたのは現役レーサーではなく、荘林幸輝ボートレーサー養成所実技教官。清水の127期担当の教官である。デビュー節の前後は電話で激励もした恩師は、清水の第一印象を「泣き虫」と笑いながら話した。「かと思えば、朗らかな感じもあったり。感情豊かな、いい意味で不器用な子でしたね」と振り返る。「転覆や落水は45回。これまで見た中で一番多かったと思う。ただ、失敗ではなくてチャレンジしてのもの。アドバイスを実直に、真っすぐに実践して逃げずに頑張った」。今や男子のトップとも対等に渡り合う大山千広(24)の名前を引き合いに出して「いいものを持っている。養成所の段階で、あそこまでハンドルが切れるのは男子でもなかなかいない。当時の大山千広よりも清水の方が上だと思う。大山は、デビューしてから努力して強くなった。早くレースに慣れて、みんなから好かれる、かわいがられるレーサーになってほしい」と活躍を期待した。
◆清水 愛海(しみず・あみ)1999年(平11)11月23日生まれ、山口県柳井市出身の20歳。中学時代は陸上部、高校時代はバスケットボール部に所属。好きな食べ物は鍋(特にキムチ鍋)。1メートル59、血液型O。