5600万円以上を稼ぎ出した2019年は史上最年少で賞金女王に輝いた大山だが、クイーンズクライマックスでは優出5着と不完全燃焼の結果で終わった。
昨年はスポーツメディアだけではなく、レースの合間を縫って、ファッション誌やテレビ出演などを精力的にこなして、ボートレースを世に広めた。レース内容が精彩を欠いていたクイーンズクライマックスは、少なからずとも、その“疲れ”があったのかもしれない。
現在はF2のペナルティーで90日の休み中ではあるが、女子獲得賞金ランキングは5位。多忙だった昨年とは違い、心身ともにたっぷりとリフレッシュして戦いに望めるのは大きなプラス要素だろう。
一般的に言われるレース勘等の不安は、規格外のポテンシャルを秘める大山には一切関係ないはずだ。昨年、唯一の忘れ物である女王ティアラ戴冠へ、広大な浜名湖水面をアクセル全開でかっ飛ばす。
レディースチャンピオンで受けた屈辱は倍返しだ!
今年の守屋はまさに充実一途。出場した4つのSG(クラシック、Aスター、オーシャンC、GPシリーズ)で必ず1着をつかみ取った。プレミアムGIのバトルCTでも優出と、男子強豪レーサーとも真っ向勝負を繰り広げ、存在感は輝きを放っている。堂々の獲得賞金ランキング1位でのクィーンズクライマックス出場は当然の結果だろう。
現代のボートレースは乗りやすさは度外視、鍛え抜いた筋力で舟を“操る”選手がトップシーンを走る。高校在学中に女子ウエートリフティングの全国大会で優勝した守屋が活躍する土台はここにある。8月・レディースチャンピオンは誰もが優勝を信じて疑わないシチュエーション(1号艇)だったが、平山智加のジカまくり強襲に屈して優勝を逃した。終わりよければ全て良し。2020年を締めくくる頂上決戦で、きっちりと借りを返す。
優勝候補の筆頭に挙がるのは夏の女王、平山智加だろう。今年はここまで11優出、5優勝。自身3度目のGI制覇となった8月多摩川のレディースチャンピオン優勝戦で見せた2コースからのまくりは圧巻だった。今大会は女子の賞金ランク2位で出場権を獲得。7年前の第2回大会は賞金ランクトップで出場し、(1)(4)(1)(1)着の成績で初優勝を遂げたが、今回もトライアル1回戦1号艇のアドバンテージを生かしてきっちりと勝ち上がる。
その平山を抑え、賞金ランク1位で乗り込んでくるのが守屋美穂。今年は14回の優出、4優勝とエンジン抽選に左右されず、抜群の安定感を誇った。守屋はこの大会も2018、19年と2年連続でファイナリストに名を連ねている。攻撃力、調整力を身につけ、気力も充実。悲願のGIタイトル獲得へ機は熟した。
小野生奈は近況7節(途中打ち切り1節含む)で4優出、1優勝と調子は上向き。6月の大けがを克服した平高奈菜も復調ムードで、自慢のターンで初優勝を狙う。昨年、史上最年少でレディースチャンピオンを制した大山千広はF休みの真っただ中にぶっつけでこの大会に臨む。トライアルは3回戦までの短期決戦だけに、いかに早急に実戦勘を取り戻せるかが鍵になるだろう。
今年の女子レーサーナンバーワンを決める「プレミアムG1第9回クイーンズクライマックス」が、静岡県湖西市の浜名湖ボートレース場で開催される。賞金ランキング12人によるトライアル戦は、28日から31日まで行われるが、26日はひと足早く「シリーズ戦」が幕を開ける。
浜名湖のモーターは4月17日に使用開始され、8カ月が経過。どのモーターも16節以上使われている。2連対率上位12基はトライアル組の手に渡るが、シリーズ戦にも目玉モーターが存在する。山川美由紀が手にした19号機は、9月の中間整備後に一変。目下、赤丸急上昇中だ。
前検練習を終えた山川は「みんなにいいエンジンと言われたので、伸びるのかなと思ったけど、そうでもなかった」とポツリ。それでも「レースへ行くといいのかな!?」と実戦足に期待を込めていた。初日の出番は3Rの5枠と10Rの2枠だ。
<浜名湖 初日 12R ドリーム戦>
1枠 長嶋 万記 (静岡支部)
2枠 大瀧明日香 (愛知支部)
3枠 川野 芽唯 (福岡支部)
4枠 宇野 弥生 (愛知支部)
5枠 竹井 奈美 (福岡支部)
6枠 海野ゆかり (広島支部)初日メインのシリーズ・ドリーム戦は、1号艇に地元の長嶋万記【冒頭の写真】が登場。「試運転は合ってなかったけど、プロペラをたたいて反応がありました」とニッコリ。「特訓では水をつかんでいたし、伸びられることもなかったです。これをベースに行きたいです」と早くも調整の方向性を見いだした様子。今年は賞金ランキング13位でクイーンズクライマックスへの出場は逃してしまったが、「大会を盛り上げたい」と前向きなコメントが頼もしい。初戦のドリーム戦から気合の走りを披露するか。
26日に浜名湖で開幕する「プレミアムG1第9回クイーンズクライマックス」。賞金上位12人によるクイーンズクライマックストライアルは3日目からスタートだが、それに先立ち「G3クイーンズクライマックスシリーズ戦」が始まる。出場するのは11月29日時点での女子賞金ランキング13〜68位(※F休み中やあっせん辞退中等の選手を除く)の42人。4日間の予選ラウンドと5日目の準優を経て大晦日の11Rで優勝戦を争う。
近年のシリーズ戦は最後まで目が離せない大激戦になるケースが続いている。2017年は廣中智紗衣が3コースまくり、2018年は塩崎桐加が4コースまくり、2019年は平田さやかが5コース差しで優勝。昨年は平田が31回目の優出で悲願のデビュー初Vを飾るという劇的な結末だった。
おりしも近況の女子戦線はデビュー初Vラッシュ中。ここ1カ月ほどの間に4人も初優勝が生まれるという非常に珍しい波が巻き起こっている最中だ。それだけに今年もシリーズ戦でデビュー初Vが誕生、というドラマを期待せずにはいられない。
【今年デビュー初Vを飾った女子レーサー】
4月19日 宮島 西村美智子(香川95期)
7月25日 住之江 土屋 南(岡山119期)
11月10日 江戸川 西舘 果里(東京113期)
11月12日 芦屋 西橋 奈未(福井119期)
11月23日 戸田 菅野はやか(広島94期)
12月14日 住之江 出口舞有子(愛知117期)今回のシリーズ戦に出場する42人のなかで、まだV歴のない選手は6人。中川りな(通算9優出0V)、倉持莉々【写真】(通算9優出0V)、勝浦真帆(通算6優出0V)、中澤宏奈(通算5優出0V)、赤澤文香(通算4優出0V)、高田綾(通算1優出0V)だ。
最近10節で4優出と好調な中川や、意外にもシリーズ戦初出場の倉持、前節の大村一般戦で優出している勝浦、予備1位から繰り上がりで出場機会が巡ってきた中澤など楽しみなメンバーがそろっている。大晦日に初V水神祭を飾って来年に弾みをつける選手は現れるのか。
「クイーンズクライマックス・PG1」(26日開幕、浜名湖)
2012年に創設され、今年で第9回を迎える年末の女王決定戦。この歴史のなかでV2を達成している選手は松本晶恵のみ。今年は賞金ランク7位で選出。6年連続6回目の出場で3回目の優勝を狙う。
最初のティアラ戴冠は16年の平和島。G1初優勝でもあり、無我夢中で駆け上がった頂点だった。しかし、18年のV獲りはメンタル面の成長も感じさせる走り。「今節は落ち着いて過ごせた。ティアラの重みも実感できる」と女王の貫禄を漂わせた。
昨年の徳山開催では4走して勝ち星なし。今年は王座奪還をかけた戦いでもある。舞台となる浜名湖は出場機会の少ないレース場だが2年ぶりに参戦した9月のヴィーナスシリーズでは優出に成功。準優、優勝戦とS勘も合わせていただけに収穫は大きかったはずだ。
今年は3月の蒲郡から11月の多摩川までSG、G1を除いて14節連続で優出と快進撃。格の違いを見せつけてきたが、肝心の大舞台では結果を残せていない。5月のSG・オールスター(住之江)は予選落ち、8月のレディースチャンピオン(多摩川)でも準優6着で敗退。悔しさを味わってきた。20年を笑顔で締めくくるためにも金字塔のV3達成を目指す。
「クイーンズクライマックス・PG1」(26日開幕、浜名湖)
優勝候補の筆頭は、賞金ランク1位で選出された守屋美穂だ。8月のレディースチャンピオン(多摩川)、11月のレディースチャレンジカップ(蒲郡)では、あと一歩で栄冠こそ逃したが、どちらも優勝戦1号艇を獲得。2節前のBBCトーナメント(若松)でも決勝進出と手腕をアピールした。トライアル1回戦はもちろん白カポック。好発進を決めて、初G1獲りでティアラ戴冠を目指す。
賞金ランク2位で選出の平山智加が、もう一方の1号艇を務める。8月はレディースチャンピオンV。男女混合戦も含めてG1優勝3回の実力者が、史上初の夏冬制覇を狙う。
勢いでは寺田千恵だろう。レディースチャレンジカップを3コース差しで優勝して、賞金ボーダー圏外から9年連続の出場。ベテランが底力を発揮する。
大山千広はF休みにより、10月のまるがめG1以来の実戦。レース勘こそ不安でも、1走目でリズムをつかめば上昇必至だろう。17年の覇者でもある遠藤エミは、昨年の徳山開催を優勝戦1号艇で2着。リベンジを誓う。
今大会V2の松本晶恵は相性の良さを生かしたいところ。旋回力に定評ある小野生奈、平高奈菜はエンジン次第でコース不問の攻撃力を披露する。