クライマックス組の『前検を斬る!』
シリーズ組から2日遅れ、クライマックス組12戦士の前検業務が終わりました。何たる偶然か、三島敬一郎が推奨する6基はすべて第2組=明日の11RのメンバーがGET!! それはそれで、どっちも1号艇が有利なカードという気もしますが(笑)、まずは両チームのスタート練習の所見から。前検タイムも添付しておきます。
第1組(明日の12R)
①守屋美穂(岡山)6.61
②平高奈菜(香川)6.60
③大山千広(福岡)6.59
④細川裕子(愛知)6.61
⑤香川素子(滋賀)6.67
⑥田口節子(岡山)6.60
★一本目=123/456
インの①守屋が起こし遅れもあって凹み加減(それでもF)。出足自体にもやや重さを感じさせた。ダッシュ勢では⑤香川も置かれ気味だったが、唯一正常なコンマ01ではあった。スリット足は4カド④細川がわずかに覗く感じも、ダッシュの加速分と考えれば大差はないか。とにかく突き抜けるほど出て行く人機は見当たらず、スタートさえ五分なら①守屋に有利なパワー相場と言えるだろう。
★二本目=654/132
それぞれ第2戦以降を意識してのスロー×ダッシュの入れ替え隊列。ここでも4カドの①守屋が起こし遅れ~出足重ために見えたが、タイミングは16でぴったりか。アウトの②平高はドカッとコンマ26で、他の4艇はFとバラバラなスリット隊形だった。守屋の出足が気になった以外、この凹凸隊形でパワー比較は難しい。
★三本目=3251/46
ここは4コースの①守屋が早めに踏み込み、スリットで舳先が揃ってその後の行き足も同じ感じ(コンマ01)。インの③大山も揃って出ては行ったが、3本ともFだったのは長期休み明けだけに気になる材料ではある。アウトの⑥田口がスロー勢とほぼ同体から半分近く突き抜けて見えた。ダッシュの利があったとはいえ要注意。
※展示タイムは⑤香川以外はきれいに6秒60前後で横並び。前節の転覆でパワーダウンの可能性がある香川12号機の数字はかなり気になるが、スタート練習では「ちょっとだけ劣勢」程度ではあった。シャフト交換など大整備を施した12号機の実戦足はいかに?
第2組(明日の11R)
①平山智加(香川)A+ 6.63
②小野生奈(福岡)S 6.67
③寺田千恵(岡山)A 6.73
④松本晶恵(群馬)A+ 6.72
⑤岩崎芳美(徳島)A+ 6.74
⑥遠藤エミ(滋賀)A 6.70
※機力評価は三島敬一郎「エン魔帳」より抜粋
★一本目=123/456
③テラッチが踏み遅れてコンマ20以外はコンマ00前後。スリット近辺は三島の2番手評価にして私の◎18号機(岩崎)が5コースから力強く出て行った。その外の遠藤もしぶとく食い下がる感じ。スロー勢では②生奈がわずかに①平山を煽る勢いに見えた。
★二本目=5364/21
ダッシュで目を惹いた⑤岩崎はインから目立たず、代わって3コース⑥遠藤の行き足と5カド②生奈のスリット足が軽快で、①平山が生奈にしっかり付いていく見え方。
★三本目=152/346
明日の実戦に近い隊形の中、⑤岩崎が再びスローの2コース選択。まさか前付けはないと思うが、やはり起こしからの出足は鈍く思えた(コンマ32のドカ)。ここでも目立ったのは3コース②生奈のスリット後の行き足(コンマ06)と、6コース⑥遠藤のスリット付近の加速感(コンマ10)。この特訓だけでパワー鑑定するなら、生奈&エミをツートップとしておきたい。人気を被る①平山は「可もなく不可もなく」という見え方だったのだがどうか。
※前検タイムは総じて第1班よりかなり遅い?? 特に風が変わったとは思えず、この原因はさっぱり分からない。でもって、全体のワーストはなんとなんと、岩崎18号機???? いや、これだけはありえない、絶対にありえません! 節イチかどうかはともかく、間違いなくクライマックス組で三本指に入るストレート足と確信しております。
時間は前後しますが、足合わせの見立ても記しておきましょう。
★樋口×田口=全体的に少しずつ外の田口が上。大差ではなかった。
★細川×遠藤=ターン回りは細川が力強く、出口からは遠藤がやや上。
★遠藤×田口=ターンで遠藤がやや空回りする感じ~出口からはほぼ同じながらわずかに遠藤に分があった。
★小野×香川=小野がターンでややスカして見えたが、その後は全体的に小野が上回っていた。ただ、千切るほどではなく感想は「香川12号機、そこまで劣化してないかも?」。
★小野×平山=出口からほとんど同じ感じで、スリット裏あたりはほんのちょい小野が強め。ただ、ここでも小野のターンがややスカしているように見えた。回転が合いきってないのかも。
★大山×寺田=外の寺田がターン出口で少し振り込み呼吸合わず。大山が待ってのストレート比べは互角に見えた。
★松本×三浦=ターン~スリット裏までちょっとずつ三浦が優勢で、その後は同じような伸び具合。
★岩崎×宇野=ターン回り~出口まで呼吸が合い、スリット裏の手前から岩崎が突き放す感じで出て行った。すべてのマッチアップの中でいちばんインパクトのあるストレート足に見えた。
以上の材料を混ぜ合わせると、こんな総合評価になります。
★第1班はほとんど似たり寄ったりで、わずかにストレート足で田口節子17号機、出足系統で細川裕子31号機が優勢。全体的にこれもわずかながら香川素子12号機が劣勢か。少し心配なのは守屋美穂66号機の起こしからの出足の重さ。
★第2班では小野生奈51号機の出足~行き足、遠藤エミ13号機のバランスの良い仕上がり、岩崎芳美のストレート足が私なりのトップ3。
前検タイムでちょっと自信がなくなったのですが、現時点では第2班の小野・遠藤・岩崎を推奨しておきます。SABなどの具体的な評価は、明日の実戦を見てから精査します。
【浜名湖ボート・PGIクイーンズC】岩崎芳美が〝高実績〟18号引き当てガッツポーズ
ボートレース浜名湖のプレミアムGⅠ「クイーンズクライマックス」がいよいよ28日に開幕する。27日にはその前検業務が先行開催しているGⅢ「クイーンズクライマックスシリーズ」のレース間に行われた。
注目のエンジン抽選の結果と28日のトライアル初戦の枠番は次の通り。
〈28日・11R〉
1号艇=平山智加(香川=35)22号機(42%)
2号艇=小野生奈(福岡=32)51号機(42%)
3号艇=寺田千恵(岡山=51)60号機(44%)
4号艇=松本晶恵(群馬=33) 7号機(46%)
5号艇=岩崎芳美(徳島=48)18号機(40%)
6号艇=遠藤エミ(滋賀=32)13号機(43%)
〈28日・12R〉
1号艇=守屋美穂(岡山=31)66号機(47%)
2号艇=平高奈菜(香川=33)30号機(46%)
3号艇=大山千広(福岡=24) 6号機(40%)
4号艇=細川裕子(愛知=39)31号機(41%)
5号艇=香川素子(滋賀=43)12号機(48%)
6号艇=田口節子(岡山=39)17号機(46%)
ベスト12エンジンでも、傑出機が不在ということで、ビッグレースとしては比較的、淡々と行われたエンジン抽選だったが、唯一、盛り上がりを見せたのが10月に2節連続Vを記録した18号機を岩崎が引き当てた瞬間だった。他選手から「エースよ!」との歓声に思わずガッツポーズを見せた。浜名湖では6月、9月と女子戦2節でいずれも優出の高実績。特に6月のオールレディース戦では節一に仕上げただけに、今回もその調整手腕に注目したい。
ボートレース浜名湖のGⅢ「クイーンズクライマックスシリーズ」が26日、開幕したが、〝本番〟はこれからだ――。2020年ボートレースのフィナーレを飾る〝大みそか〟決戦、プレミアムGI「第9回クイーンズクライマックス」は28日にスタートする。
その大一番で最も注目されているのが大山千広(福岡・25=2年連続2回目の出場)ではないだろうか。というのも、もっかF2ペナルティーのため、90日のF休みの真っただ中。2か月もの間、レースに登場しておらずその動向、近況が不透明だったから。
本来、通常のSG・GIレースならばF休み中のレース出場はかなわないが「グランプリ」とこの「クイーンズクライマックス」に適用される特例で今大会に出場を果たすことになった。
いよいよ始まる女子頂上決戦を前に、彼女を直撃すると「2か月、丸々レースを離れていましたから、もちろん不安はあります…。でも、それ以上に〝楽しみ〟のほうが大きいんです!」と、頼もしいコメントが返ってきた――。
「(F休みだった分)じっくりと時間をかけて体作りやトレーニング、そして練習もできました。十分な準備はできました」と、自然と口ぶりも熱を帯びた。「このF2は(褒められたものではないですが)本当にいい勉強なりました。きつい状況だったけど、メンタル面も考え直せたし、いい経験になりました。これを今後に生かしたい」と、大きな〝痛手〟を追いながらも、今では健気に前を向いている。
もちろん10月の「まるがめGI68周年記念」以来の実戦となるだけに不利は否めない。それでも、彼女には大きな期待を寄せたくなる。それに応えられるだけの〝器〟だからだ。
実際、F2の重ハンディを負った直後のPGIびわこ「ヤングダービー」でも節間2勝を挙げる活躍。さらに、前記のまるがめGIでも2勝をマーク。いずれもイン逃げだったとはいえ、どちらも強豪男子相手のGIレース。Fの足かせがなくたって勝てない選手は勝てないモノ。彼女の勝負度胸、闘志、精神力は並の女子レーサーのモノではない。今大会、いきなりの大仕事があっても、何ら不思議ではない。
「ええ、ホントに楽しみしかないというか、ワクワクしています。こんな状況だったし、むしろ変なプレッシャーもないですからね。気楽といったら言葉は違うかもしれないけど、肩に変な力を入れずにやれる気がしています。今年はいろいろあったけど、いい締めくくりにしたいと思っています。もちろん、優勝を狙っていきます!」
今年の年末は〝ちーちゃん〟スマイルにくぎ付けになるに違いない!
◇賞金ランク10位=岩崎芳美(48)徳島支部・71期
「緊張とかはないですよ。一生、出られないと思っていたのが、今年はチャンスをつかめたんだから存分に楽しみたい」。初出場となるクイーンズクライマックスへの意気込みをこう明かす。
デビュー29年目。今年3月に地元・ボートレース鳴門のGⅡレディースオールスターで優勝。2002年の徳山・女子王座決定戦(現レディースチャンピオン)V以来のタイトルを手にした。
毎年、コンスタントに優勝していたが16、17年と優勝0が続いた。気持ちが萎えかけた時に先輩の寺田千恵から声をかけられた。
「マスターズチャンピオンに出場したら、すごく楽しかったよ。芳美もおいでよ」。
この言葉をもらった直後の18年5月のボートレースの平和島オールレディースで2年半ぶりのV。「また頑張りたいと思った」と大舞台への思いも再び湧き上がってきた。今回は、その寺田も出場する。ともにベテランの存在感をアピールする。
◇賞金ランク6位=寺田千恵(51)岡山支部・65期
11月の蒲郡GⅡレディースチャレンジカップで優勝して9年連続9回目の出場権をもぎ取った。その勝負駆けは危機感を抱きながらの戦いだった。「正直言って、今回はクイーンズクライマックスに行くのは無理かと思っていた。若い人が出てきて、だんだん厳しくなってきているのはうすうす分かっている」と振り返る。
守屋美穂、平山智加ら充実期を迎えた30代の選手や大山千広ら成長著しい20代が次々と台頭。「今の若い人はすごく吸収力が早く成長がすごい。自分もそうだったけど30~40歳のころに脂が乗ってきた」と世代交代の波が押し寄せていることは痛感している。
もちろん簡単にその波にのまれるつもりはない。「私たちが粘って行かないとボート界も盛り上がらないから、頑張っていこうと思う」と強い気持ちを持ち続けている。
近況の感触も「最近は〝これをすれば悪い症状が出るのでこれではダメだ〟とか、いろいろ試して練習して…。おかげで今の自分の好きな形でレースがしやすくなった。少しずつ調整も自分なりにうまくはまるようになってきた」とまずまず。
夏の女王決定戦となるレディースチャンピオンは2度、制しているが年末決戦のクイーンズクライマックスの優勝はまだない。ただ「今回は〝見張り番〟っていう感じで行きます。岡山支部の3人(寺田、田口節子、守屋美穂)の誰かが取れればいいかなって…」とリラックスモード。
「チャレンジカップも下の方での参加で気楽な気持ちでいって、いい結果が出たしね。できれば、3人で優勝戦に乗れれば最高ですね」とレディースチャレンジカップを制した時のように脱力モードで最終決戦に臨む。
◇賞金ランク11位=遠藤エミ(32)滋賀支部102期
第4回(福 岡)=トライアル敗退
第5回(平和島)=優勝戦6着
第6回(大 村)=優勝
第7回(平和島)=優勝戦2着
第8回(徳 山)=優勝戦2着
これまで5回の出場で4優出1Vという成績を見ても、大会相性はまずまず。3日間のトライアル(2、3戦目の枠番は抽選)→優勝戦という独特の大会スタイルの戦い方は熟知している。
今年は優勝が8月のボートレース大村・ヴィーナスシリーズの1回のみ。5月の戸田、9月の若松、10月のとこなめでは優勝戦1号艇だったものの、勝ち切ることができなかった。
「今年はいいレースができず、あまり結果を出せなかったですね。去年もそうだったけど、大事なところで逃げられなかったり、大事なところで飛んだり…。原因はメンタル面が弱かった」と厳しい表情で苦悩の1年を振り返る。
この沈滞ムードを打破するためにも、2020年の総決算となるクイーンズクライマックスで流れを変えたいところだ。「浜名湖は1月に優出しているし、イメージは悪くない。広い水面は好きです。今年はいいレースができてないし、成績もとれていない。でも、やってきたことをすべて出し切るだけです。最後に勝ちたいですね」と言葉にも力が入る。
クイーンズクライマックス実績に水面相性、そして女子トップレーサーとしての地力と意地で、逆襲ののろしを上げる。