ボートレース平和島のSG「第35グランプリ」は15日、初日を終了した。
トライアル1st・11Rでは白井英治(山口=44)が力強い差しで勝利したが、福岡勢による大接戦を制して、3着に粘り込んだボート界のエンターテイナー西山貴浩(福岡=33)も侮れない存在となってきた。
初戦は〝差し山〟の異名を持つ西山らしいレースで3着奪取。1周1Mの最内差しから、道中では同じ福岡支部の先輩・瓜生正義(福岡=44)との3着争いとなったが、3周2Mを絶妙なターンで、クルッと回って最後の最後に3着を奪い取った。
「1周2Mで欲をかいて2着を狙ったら、ここはグランプリだということを思い出した(笑い)。それでもボクの生きる道は道中(の競り合い)しかない。うまいことしのげて、最後は気持ち良かった~!」と、してやったりの逆転劇に〝西山節〟も冴え渡った
。もちろん舟足もまずまずだ。「直線は弱いけど、出足は悪くない。伸びでやられるのは〝慣れっこ〟ですよ」と、満足ではないとしても、持ち味を生かせる仕上がりにはなっている。もちろん「落ち目のエンジンらしいので、整備は考えたい。今節は塩田(北斗、福岡=32)、仲谷(颯仁、福岡=26)と、〝いい子分〟を2匹引き連れている」と、良き後輩たちの〝情報提供〟を生かしての上積みも視野に入れている。
16日のトライアル1st2日目・11Rは3号艇の好枠番。念願の初出場を果たしたグランプリの大舞台で一気に「2ndステージ」へ勝ち上がるつもりだ!
破格の優勝賞金1憶円を争う〝ビッグマッチ〟ボートレース平和島のSG「第35回グランプリ」が15日、激闘の幕を開けた。注目のトライアル1st初日は予想通りの大激戦となった。
進入から動きがあった第11Rは2号艇・白井英治(山口=44)が2コースからイン瓜生正義(福岡=44)をズバッと差し切り、一気に独走態勢を築いて快勝!
これに続く2番手争いが大激戦。インで残した瓜生に対して、外から岡崎恭裕(福岡=33)、西山貴浩(福岡=33)も肉薄し、福岡3者によるデッドヒートを展開。2周1Mで岡崎が2番手に浮上すると、最終周回の3周2Mで今度は西山が瓜生を交わして3番手奪取。瓜生は4着で、3連単2―5―6は1万8960円の好配当決着となった。
白井はレース後「落ち着いていいターンができた。エンジンも前検日からある程度、雰囲気が良さそうだったので、これをベースに行ければ…」と、満足そうに話した。
続くトライアル1st第12Rはオーソドックスな枠番通りの3対3スタイルでスタート。1号艇・菊地孝平(静岡=42)がインから先マイしたが、3コースから平本真之(愛知=36)が鮮やかなまくり差しで菊地の懐に切り込み快勝した。
菊地は2番手をキープ。松井繁(大阪=51)が3着を確保した。平本は「緊張していたが、1マークは〝完璧〟なターンでした!」と自画自賛した。
トライアル1st2日目は平本真之&前本が1号艇! 15日、ボートレース平和島のSG「第35回グランプリ」が開幕した。
初日の全レース終了後に2日目の枠番抽選が行われ、平本真之(愛知=36)と前本泰和(広島=48)がそれぞれ「白玉」=1号艇を引き当てる強運ぶりを発揮した。
TR1st2日目の枠番は次の通り。
◇第12R
1平本真之(愛知=36)
2瓜生正義(福岡=44)
3松井 繁(大阪=51)
4茅原悠紀(岡山=33)
5岡崎恭裕(福岡=33)
6井口佳典(三重=43)
◇第11R
1前本泰和(広島=48)
2菊地孝平(静岡=42)
3西山貴浩(福岡=33)
4徳増秀樹(静岡=46)
5新田雄史(三重=35)
6白井英治(山口=44)
2日目=16日も激戦必至だ。
平和島SG「第35回グランプリ」が15日、開幕した。同時開催の「グランプリシリーズ」初日は地元の石渡鉄兵(東京=46)が4、8Rを逃げ、まくりで快勝! シリーズ組でただ一人の連勝発進を決めた。
前半4Rはインからコンマ09のトップスタートを決め、危なげなく逃げ切り。後半8Rは4コースからコンマ07と、再びトップスタートで先制すると、1マークまでに内3艇を飲み込む豪快なまくり一閃! そのまま押し切って連勝ゴールを飾った。
「(いずれも)スタート勝ちですけど、結果的に連勝なので最高です。伸びていくことはなかったし、足は普通かな。ただしっかりしていて、乗りづらさはない。周りが乗りづらそうにしているので、そこはいいと思う。思い切りレースをしたい」と、波乗り巧者らしい分析も披露し、笑顔を見せた。
グランプリシリーズは過去2回優出しており、相性のいい大会。今回は6年ぶりの地元開催だけに、初SG制覇を決める絶好のチャンス。2日目以降の走りにも注目したい。
BOAT RACE ビッグレース現場レポート
爆差し
11R 並び順
①瓜生正義(福岡)13
②白井英治(山口)19
③新田雄史(三重)17
⑤岡崎恭裕(福岡)13
⑥西山貴浩(福岡)14
④茅原悠紀(岡山)18
2コースの白井がブッ差した。爆竹音が響くような猛烈な差し抜けだった。出口で圧勝と分かる展開になった理由は、大きくふたつ。ひとつは、白井のパワーが瓜生のそれを凌駕していたこと。いまひとつは、イン瓜生が「たとえ差されても、絶対にまくられたくない」という握りマイを選択したこと、だと思う。
昨日の前検から8R後のスタート特訓からスタート展示から、白井のスリット足が瓜生を圧倒していた。ジカまくりを浴びたら、ひとたまりもない。そんな思いが強かったであろう瓜生は、結果として3コース新田のツケマイに飛びつく形で白井の差しを浴びた。この流れをひとことで表現するなら、「機力に自信がなかった」だろう。
一方、2着争いは福岡支部の3者による壮絶な叩き合いとなった。ストレートに余裕がある岡崎が主導権を握り、瓜生が百戦錬磨のテクで応戦し、最近は競り合いに滅法強い西山がしぶとく食い下がる。
最後に3者の着順を分けた決め手は、やはりパワー差だったと思う。一旦は2番手を取りきった瓜生にはまったく余裕が感じられず、岡崎に直線で圧倒され、最終ターンマークでは2艇身後方の西山の差しにも太刀打ちできなかった。ターンの前から「これは、やられる!?」と予感させる逆転劇。このままの足色では、トライアル1st~2ndの試練を乗り越えての2度目のGP戴冠は至難の業とお伝えしておこう。明日は大整備がありえるかも?
それから、私が有力なV候補と見積もっていた65号機・茅原は、西山を招き入れての6コース単騎ガマシを選択。トライアルらしい男前な戦術だったし、6年前の当地ファイナルの再現か?とも思わせたが、1マークでまったく展開がなく6着惨敗に。ギャンブル失敗は仕方がないとして、道中での新田との5着争いからもズルズル後退した足色は気になるところ。今日のところは、私が期待した65号機には程遠いパワーだったと認めざるをえない。
一閃の袈裟斬り
12R
①菊地孝平(静岡)11
②徳増秀樹(静岡)17
③平本真之(愛知)15
④松井 繁(大阪)16
⑤井口佳典(三重)18
⑥前本泰和(広島)21
3コースの平本が、強固に見えた静岡ラインのど真ん中を切り裂いた。菊地のインモンキーに大きな失策は感じられなかったから、平本のカミソリの如き鋭敏なまくり差しを褒めたたえるしかない。
進入隊形は穏やかな枠なり3対3。前本がもっとゴリゴリ攻めると見ていたのだが、おそらく「伸びる井口の外」という展開に魅力を感じたのだろう。そこに誤算があったとするなら、4カド松井のストレート足だ。昨日まで「伸びない」と泣いていた松井は、いざ本番前にしっかりと行き足~伸びを上積みさせていた。これが最近の王者流で、スリット足に活を入れる術を掴んでいる。
そのスリットラインは、菊地だけが覗いて外はほぼ横一線。怖い井口のスタート攻勢を松井がガッチリ受け止めたのを見て、私は菊地のイン逃げ圧勝を疑わなかった。それほど昨日からの菊地56号機の出足~行き足は安定感抜群に見えていた。
一方の平本24号機については、新田との足合わせで「ターン回り、出口の押し○」とメモしてはいたのだが、まさかこれほど鮮やかに菊地を斬り倒すとは想像していなかった。レース後の枠番抽選では、勢いそのままに明日の1号艇をGET。もちろん、この流れをもってV候補と呼ぶには早計すぎるが、2014年のGPシリーズに続く「平和島グランプリのW制覇」が視界の片隅に入ったとみていいだろう。
2着は斬られながらも2マークを力強く旋回して後続を突き放した菊地。3着は4カドから外の難敵を止めて最内を差した松井がしぶとく粘りきった。モーター調整も含めて、実に老獪な立ち回りだったと思う。グランプリという大舞台であっても、勝負はターンスピードだけで決まらない。そんな王者の矜持が垣間見えるレースでもあった。
私もストレート足に期待した井口14号機は、そんな王者の前になす術なく敗れた。「自慢の直線足を持て余した」という見方もできるが、道中で後手を踏んでからのターンはすべて引き波で滑る感じで、今日はまったく回転が合っていなかった可能性が高い。弱り目に祟り目、明日は6号艇を引いてしまった井口がどんな勝負手で高いハードルに立ち向かうのか。整備状況や足色を見守りつつ、できる限り正確にその戦略を予測しておきたい。
シリーズTOPICS
竜神様の異常な愛情
平和島の水神様は「吉川」という姓に恋焦がれているのだろうか。吉川元浩はここ3年で3度ここに足を踏み入れ、18年GI周年記念~19年BBCトーナメント~20年クラシックとすべて優出。絶対エース13号機を引き当て、その超抜パワーをフル稼働して頂点に立ったクラシックはまだ記憶に新しい。ちなみに、元浩は1/6の確率とはいえ今節も2連率トップの17号機を引き当てている。
で、平和島クラシックで10年ぶりにSG参戦、元浩に続いてファイナル2着のゴールを駆け抜けたのが46歳の吉川昭男だった。その大活躍でグラチャンの参戦権をもぎ取り、高い賞金を積み上げてSGチャレカにも出場。この一連の流れを思えば、今節は「凱旋帰郷」とも呼ぶべき年間4度目のSG参戦とも言えるだろう。東京支部じゃないけど。
そしてそして、今日の7Rはと言えば、1マークで2艇が転覆というアクシデントを掻い潜ってあれよあれよの先頭に。なんだかちょっと、背中がうすら寒くなるようなサプライズな1着でもあった(今思い出したが、昭男さんは今年の9月に当地マスターズリーグを2コースから差し抜けて優勝し、来年のマスターズチャンピオンの権利まで召し取っている)
とにかく、何から何まで吉川コンビは平和島の竜神様に愛されているのではないか、などと思った次第だ。これで吉川喜継、吉川勇作、吉川貴仁までが平和島で大暴れ、なんてデータがあればもはやホラーの領域なのだが、残念ながらそれらしい足跡はありませんでした、ちゃんちゃん。